2011-03-31 Thu
おはようございます。芦田総研 相続FPの大西です。
『行政書士』さんの3回目 ラストです。
≪行政書士≫
前々回、行政書士さんのお仕事で相続に関するものとして以下をあげさせてもらいました。
1、遺産分割協議書の作成
2、相続関係説明図の作成
今日は、前回に引き続き、上記の2番目「相続関係説明図の作成」についてなのですが、その中でも、昨年の12月に出た最高裁判例についての話をさせていただきます。
判例がでてからすでに3ヶ月が経過していますので結構いろんなところでも話題になっていた話です(当時の新聞にも載りました)。
簡単に言いますと・・・
①家系図の作成は行政書士しかできない独占業務である (大前提!)
↓ しかし、
②行政書士の資格を持たない北海道のある人物が家系図作成を生業としていた(商売をしていた)
↓ そこで、
③行政書士法違反として訴えられた
↓ 地裁・高裁
④一審、二審では有罪の判決が出ていた
↓ ラスト判決!
⑤平成22年12月20日 最高裁で逆転無罪となった
というものです。
何故、この判決がこのブログの内容と関係してくるのかと言いますと、「相続関係説明図」と「家系図」はほぼ同じ内容なのです。
また、作る過程もほぼ同じで、今までは行政書士が職権で戸籍謄本を取り寄せ、作成していました。
(今でも、インターネットの世界では「家系図作成受付!」といった行政書士さんのサイトがたくさんあります)
よって、「相続関係説明図≒家系図 →行政書士の独占業務」という図式が長らく成立していたのです(上記①)。
この裁判では「『家系図の作成』が行政書士の業務範囲である『事実証明に関する書類の作成』に該当するのか」が争われたのですが、最高裁は「家系図の作成が、観賞用・記念用目的である限り、行政書士以外が作成しても、行政書士法違反にはあたらない」という判決を出したのです。
つまり、相続時に作成する『相続関係説明図の作成』は行政書士の業務に該当するが、ほとんど同じ内容の『家系図の作成』は一般の人が行っても問題ない(行政書士の独占業務ではない)ということになったのです。
行政書士の独占業務でなくなるということは、今まで職権で取ることのできた戸籍謄本等も今後は取れなくなる(委任状をもらって取得する)ことになると思われますが、さてどうなのでしょうか?
追伸:
いくら誰でも作成できることになったとはいえ、戸籍謄本の見方は特殊(特に古くなればなるほど)ですので、『正確な家系図の作成』という面から言えば、行政書士さんが作成する意義というのは今後もあると思います。
(「資格を持っていない方が作成した家系図は正確ではない」という意味ではありませんのであしからず)