2016-03-24 Thu
こんにちは。芦田総研 相続FPの大西です。
標題について、「何言ってるの?預金は当然遺産分割の対象でしょ。」と思われた方も多いかと思います。
実務上も「この預金は誰がもらって、あの預金は誰がもらって・・」といった感じで、普通に遺産分割が行われています。
実際のところ、不動産と違いお金は分けやすいので、遺産分割の際には相続人間の調整弁として利用されています。
しかし!
過去の裁判においては、「預貯金は遺産分割の対象ではなく、相続と同時に法定相続分は各人のもの!(ただし、みんなが同意すれば分けてもいい)」ということになっており、これが話しをややこしくしています。
金融機関に「自分の法定相続分だけ遺産を引き出したいんですが」と言ったところで、「みんなの同意書をもらってきてもらったら出しますよ。」てな感じで、ほとんどの金融機関では単独では引き出してもらえません。
(責任問題が関係するからでしょうが、「誰がもらうか全員が同意したら」というのは、結局、「遺産分割で決めてもらったら」というのと同じですね)
このように、 実際行われていること(預貯金も遺産分割の対象)と裁判の結果(預貯金は遺産分割の対象外)が異なっているのが現状なんです。
今回、ある裁判で預貯金が分割対象なのかどうかについて審理され、この案件が、最高裁の小法廷から大法廷に回されたことにより、「過去の裁判例が変更になるのではないか!(つまり、実務にあわせるかたちで預貯金も遺産分割の対象ということにするのではないか!)」ということになっているんです。
最終どうなるのかはわかりませんが、法律判断と実務が異なるのは、やはりもめるもとになりますので、はっきりしてもらえるのはいいことだと思います。
(ただ「過去に遡ってどうのこうの」となったときには、それはそれで混乱も起きそうですが・・・)